前回に引き続き、美優が怖い。
アリスティアは、美優に完全に圧されちゃってる感じ。
いよいよ会議は後半戦へ。
前回の第113話はこちら
捨てられた皇妃【第114話】
前世の記憶を持つ美優
アリスティアに「久しぶり」と話しかけてきた美優。
時を遡ったのは、アリスティアだけではなく美優もでした。
前世よりも早くアリスティアのいる世界にやってきたことも、美優は承知の上でした。
愕然として言葉も出ないアリスティアに対し、昔のように無邪気に話しかけてくる美優。
その一瞬後には鋭い視線を投げかけ、笑みのない表情でアリスティアに迫る。
退屈してたの。またあの頃みたいによろしくね。ティア。
と、アリスティアの髪に触れ、アリスティアから離れて行きました。
美優は何をどこまで知っているのでしょう。
別の世界で、今まで何を思って過ごしていたのでしょう。
アリスティアは前世とは違う、パパと共に生き延びられる道を求めてきました。
じゃあ美優は?
いずれ違う世界に行くことを受け入れていたのか、抵抗していたのか。
一度目は受け入れざるを得なくても、二度目は回避したかったのか。
どちらにしてもこの世界に来てしまった以上は、アリスティア同様に美優も自分の人生のために動くのでしょう。
アリスティアの血筋
なんとか気を取り直したアリスティアは、皇帝派の面々と午後の戦略を練ります。
まずは、美優を皇帝派に迎えること。
アリスティアはルブリスの婚約者の座を辞し、モニーク家の正式な後継者となること。
そして、美優を皇后にさせると。
午後の会議が始まる時に、アリスティアは自分を見ているルブリスに気づきます。
かつてルブリスに言われた言葉。
モニーク家を継ぐ意志を変えないアリスティアに、その決意をもう一度考え直してくれないかと言われた日のことを思い出します。
きっとルブリスは、美優を神のお告げの子として尊重はするものの迎えるつもりはなく、なんとかアリスティアの地位をこのまま守りたいと思っているのでしょう。
アリスティアなりの事情があるとはいえ、美優が来るまでにもうちょっとふたりが歩み寄れていたらよかったのに。
そして始まった午後の会議では、最初は美優を誰が引き取るかで進んだ議題が、ゼナ公爵によって思わぬ方向へと進みます。
美優を欲しがるのは、アリスティアが汚れた血だからかと発言するのです。
ルブリスがゼナ公爵の発言を制止するものの、ゼナ公爵は構わず喋り続けます。
アリスティアの母親は、誘拐されたゼナ公爵の妹が賎民との間に産んだ卑しい娘だと。
美優が選んだ先は
ゼナ公爵も貴族にとって血筋は大事とか言いながら、美優の血筋はどうでもいいのですかね。
そこは神に愛された子だからと言うのでしょうが。
アリスティアの血筋についても確たる証拠はない以上、それぞれの派閥が相手を貶める発言を繰り返すばかり。
結局のところ、貴族派の狙いはアリスティアの地位を貶めること。
一度生まれた疑惑は簡単には消えることはないので、これでアリスティア側はかなり不利になったと言えます。
そもそも、いろいろ画策していた貴族派だから、有利にことを運べると称賛があったから今回の審議になったのでしょうし。
しかし、ここで美優が動きます。
今までずっと黙っていた美優が、神のお告げ通り自分の望む場所を自分の居場所にすると。
誰を選んだのだ?と皇帝に聞かれた美優は、アリスティアを見てにっこり笑います。
そして、ゼナ公爵について行くと告げるのです。
美優は、この審議の前にすでに貴族派と手を組んでいたのでしょうか。
それともアリスティアと対立する側に行きたかった?
この審議の間に決めたことなのか、その前から水面下で動いていたのか謎です。