終始穏やかな回かと思ったら、最後に爆弾きました。
最近、毎回読む前に緊張します。
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捨てられた皇妃【第110話】
夏の別宮にて
プリンシアからの手紙で始まった今話。
カルセインの兄カイシアンと結婚したプリンシアは、夏の別宮に来たアリスティアと入れ違いに首都に引っ越してきたようです。
涼しげな木陰の間を手紙を読みながら歩くアリスティア。
そこに皇帝陛下からの伝令が来て、二人でティータイムを楽しむことに。
結局、ルブリスの思惑通りになったのですね。
陛下の宮の外にアリスティアの所属する部隊を警備にあたらせ、暑さに耐えているアリスティアを見兼ねて陛下が避暑地に行くと言うだろうという思惑は当たったようです。
さらには陛下の警備は厳重だから、アリスティアを陛下のそばに置いておけば安心という考えも。
きっとアリスティアの体調のことも気遣ってくれてたんですよね。
夏の別宮は涼しくて静かだからきっと過ごしやすいと言ってくれてましたものね。
陛下は静養中にルブリスがどう国を治めるのか見てみようと言います。
皮肉ではなく、ルブリスを信じているから大丈夫だろうという穏やかな顔で。
それを聞き、アリスティアはずっと疑問に思っていたことを聞きました。
なぜルブリスに厳しくするのかと。
その答えは簡単なものでした。
ルブリスを厳しく育てたわけ
いずれ皇帝となり国を率いていかなければならない息子を厳しく育てられるのは自分だけだと。
母親はすでに亡く、兄弟もいないルブリスが陛下亡き後ひとりになった時に、ルブリスを守ることができるのは強さだけだと。
母親の愛情を知らずに育った息子を可愛がってやりたい気持ちはあれど、将来のことを考えると厳しく育てるしかなかったということですね。
アリスティアがあまりに気にするから、もっと重い理由でもあるのかと思っていたけれど施政者にありがちな考えでした。
でも、アリスティアはそれを聞いてなお、それでよかったのかと考えます。
厳しく育てられながらも、愛されたいと愛して欲しいと願っていた幼い頃のルブリスの姿。
一度目の人生で、父親に愛されていないと思い込んで結局はかなく人生を終えた自分自身に重なって。
そんなことを考えているアリスティアのもとには、ルブリスからも気遣う手紙が届いていたのでした。
黒い髪の女
警備の合間にカルセインと剣術の稽古をするアリスティア。
動く歯車。
いろいろな人たちとの出会いや、ルブリスの変化。
未来が変わってきていることに思いを馳せるアリスティア。
ひょっとしたら美優はもう来ないかも。そうなったらいいのに。
また動く歯車。
皇宮からの早馬。
駆けてきたのはケイルアン。
パパが会いにきてくれたのかなと、陛下に謁見しているケイルアンのところに急ぐアリスティア。
さらに激しい音で動く歯車。
めまいと、胸騒ぎと、聞こえる何かの音。
ケイルアンが陛下に告げた言葉。
「皇宮の湖に黒い髪の女人が現れました」
加速し動き始める歯車。
アリスティアに聞こえていた音は、油断していたアリスティアに運命は動き始めたのだと神が嘲笑う声でした。
一度目の人生と比べて、手に入れたものはとても多いし大きい。
パパの愛情、友達、居場所、ルブリスの優しさ。
でも、どれも美優が来るのか来ないのか、ルブリスが美優を愛するのかどうか。
すべて美優がどうなるのか決着がつかないと、アリスティアも本当に心から幸せを感じることはできないのだから、いよいよ来るべき時がきたというわけですね。
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